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[本] おしらせ [本]
[1] このブログはルピナスの書く小説を押し込めたブログです。主に短編で、時に二次小説を含むかもしれません
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[3] 新連載「シェルティーとヒナの青い空」は、ブログ友達すずなちゃんのオリジナルキャラクターを許可を得てお借りして描いています。よってキャラクターの著作権はすずなちゃんにあります。
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[4] シェルティーとヒナの青い空 は、すずなちゃんの書くエル・ティリアとは別物になります。内容や世界観は繋がっておりません。管理人独自の勝手な妄想ですwあしからず。
byルピナス
*次回第6話は、6/15up予定です

3話 空とヒナ [シェルティーとヒナの青い空]

 俺が雛を拾ってきて3ヶ月が経った。最初は苦労していた餌やりも、面倒だった巣箱の掃除も今では毎日の日課になっている。
 俺にしては、よく続いていると思う。
 最初は両手サイズだった雛は、頭の上に乗せるにはムリがある程度にまで成長して、白かった羽が淡い灰色になった。
「おーい、散歩に行くぞー。どこだー、雛~?」
 これも日課だ。
 けど、家の中に、雛の姿は見当たらなかった。いつもなら散歩に連れ出せと、うるさくピィピィ鳴くくせに。
 どこへ隠れたんだ?
 雛の寝床には、本来あるべき柵は作っていなかった。設置しようとしたら、ひどく暴れて抵抗したからだ。雛は、部屋の中を自由に歩き回ることが好きらしかった。
 でも、どこを探しても見つからない。獣としての気配も感じられなかった。
 2階への階段を登ると、俺の寝室と物置として使っている部屋がある。
 雛は、時々俺のベッドで寝ていることがあるけど。
――いない。
 俺が物置部屋へ移動しようとすると、廊下の隅の窓があいているのが見えた。
 あ? 閉め忘れたか?
 そう思った次の瞬間、俺ははっとして窓に駆け寄った。勢いよく窓を開け放ち、身を乗り出して下を除き見るが、雛の姿はない。
 ほっとしながらも、もしかして……と疑念を拭えなかった。
 俺は急いで家の周りを捜索した。屋根の上や、柱の隙間、屋根下はもちろん、庭草の中まで。
 雛は、どこにもいなかった。
 まだ飛ぶことも出来ないのに、2階から落ちたらただで済むはずがない。せっかく順調に育っていたっていうのに。
 くそっ! 俺のせいだ! 俺が窓を閉め忘れたせいで……。
「雛ーーー! どこだー!」
 俺の声は、澄み切った青い空へと吸い込まれ、風が静かに俺の髪を乱していった。
 答えられない程弱っているか、声の届かない場所に移動しているか……。
 雛は、これから飛ぶ練習をさせ、狩りの仕方を教えるつもりだった。まだ、一人で遠くへ行けるはずもない。
 まさか、もう野生に帰ったなんて……
 ディランは、親離れの時期には早いとは言っていたけど。野生の生物を育てた経験がないから、俺には分からない。
 もし、本当に雛が野生に戻ったとしたら、俺はここで雛を追いかけてはいけない。例え、結果として、雛が食物連鎖の渦に巻き込まれたとしてもだ。
 俺は、雛の足で行動できるであろう範囲を散策し終わると、諦めて家へと戻った。
 雛の寝床には、淡い灰色の羽が落ちている。餌箱は空だった。
 すると――
 ピィュュューーー
 雛の声だ!
 扉が壊れそうな音を立てるのも構わずに、俺は外へ飛び出した。
 ピィュュュー
 泣き声は、上空から落ちてきた。
 見上げると、日差しが突き抜けたような青い空に、まだ淡い灰色をした両翼をいっぱいに広げて飛んでいる雛の姿があった。
「雛!!」
 俺の声に反応してか、雛はゆっくりと大きな円を描いて俺の前に降り立った。
「お前! 飛べるようになったんだなっ! どこ行ってたんだよっ! ったく!」
 俺の顔をみて、雛が首を傾げた。散歩だよと、無邪気に言ってる気がした。
 駆け寄って、柔らかい灰色の羽を撫でてやる。
 嬉しさと怒りとが入り混じった感情の渦が、俺の中から込み上げた。
 こんな時、飛べた事を褒めるのか、勝手に外出したことを怒るのか――俺の不注意だが――言葉が見つからない。
 雛の頭を撫でていると、傍でもそもそと小さな影が動いた。
 雛は、それを銜(くわ)えて俺の前に差し出す。
「ね、鼠!?」
 致命傷を受け、血が滲んでピクピクしている。
「……お前が捕まえたのか……?」
 雛は俺を顔をじっと見て、褒めてもらえるのを待っているみたいだった。
「仕方ねぇなぁ……良くやったぞ、雛」
 すると、雛は嬉しそうにピュィと鳴いた。




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あとがき


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