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[本] おしらせ [本]
[1] このブログはルピナスの書く小説を押し込めたブログです。主に短編で、時に二次小説を含むかもしれません
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[3] 新連載「シェルティーとヒナの青い空」は、ブログ友達すずなちゃんのオリジナルキャラクターを許可を得てお借りして描いています。よってキャラクターの著作権はすずなちゃんにあります。
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[4] シェルティーとヒナの青い空 は、すずなちゃんの書くエル・ティリアとは別物になります。内容や世界観は繋がっておりません。管理人独自の勝手な妄想ですwあしからず。
byルピナス
*次回第6話は、6/15up予定です

1話 シェルティーの拾い物 [シェルティーとヒナの青い空]

 足を一歩踏み出す度に、ふわりと黄金色の枯れ葉が浮き上がる。力いっぱい踏み出した割りに、ふかふかと積もり積もった枯れ葉に吸い込まれ、足がちっとも前に進まない。
「くそっ。迷い込んだのかよ」
 見慣れない景色に囲まれた俺は、この森に入ったことを後悔し始めていた。
 散策には慣れていた筈なのに。
 ほんの少し休憩のつもりで昼寝をしていたら、そこはあろうことか、魔物の餌場だったんだ。
 自分の狩場を荒らされたと憤慨したのか、それとも俺を餌と認識したのか、俺は魔物に追われる破目になった。
「あいつ、しつこいぜっ」
 姿こそ見えない魔物だったが、隠そうともしない熱風の様な殺気がまっすぐに俺に降り注ぐ。
 できれば戦闘を回避したい俺は、素早い動きで翻弄してはみたものの、周囲にある手を伸ばせばすぐに木肌に触れる事が出来る程に密集した木々が、俺の行動を抑制した。同時にそれは、戦うには狭すぎる場所だということも証明していた。
 このままだと魔物から逃れるのは難しい。かといって、無用な殺生は好きじゃない。
 どうすれば……。
 考えた俺は、ヤツの動きだけを止めてその隙に逃げるという行為を選択した。動きを封じるだけなら、翼もしくは足に一撃を加えるだけで十分だからだ。
 すぐに魔物の気配を探った。
 ヤツは何処だ? 絶大な殺気を放出しているが、むしろ大きすぎて魔物を位置を特定しづらい。
 俺が精神を集中し、神経を研ぎ澄ませていると――
――ガサッ
「そこかっっっ!!」
 振り向き様に放った俺の両刃のダガーは、ガッっと鋭い音をさせて木肌に突き刺さった。
 しかし、そこに魔物の姿はない。
 一瞬の間をおいて、白い小型の動物らしきものが飛び出てきた。
「なんだ……兎か……」
 張り詰めていた緊張が一気に削がれた。
 次の瞬間。
 背後からの強風に煽られ、気が抜けていた俺は体勢を崩した。
「うわっ、と」
 ほんの僅かのことだ。
 だが、ヤツはその隙を見逃さなかった。
 魔物の気配が一気に膨れ上がったかと思うと、強烈な衝撃が俺の腹を突き抜けた。
「ぐぅはぁっっ!」
 ヤツの姿を確認する間もなく、俺は吹っ飛ばされた。ズキズキと痛む肺の辺りを気にしながらも、俺は魔物の姿を捕らえようと顔を上げた。
 すると、またも強風が通り過ぎる。
――来るっ!
 今度は、考える間も無く体が反応した。
 足で地面を蹴り上げ、片手で体の向きをコントロールしながら転がるようにして飛び退いた。足場が悪いせいで完全には避けきれない。
「くっ……」
 鋭利な衝撃が頬をかすめる。
 次いでドンッという凄まじい音とともに大地が揺れ、降り積もっていた枯れ葉が舞い上がり、 視界が黄金色に染まった。
 ヤツ――グリファンは、俺の直ぐ目の前にいた。
 有り余る覇気を俺にぶつけるようにして、ジッとこちらを見据えている。滑らかで筋肉質な俺より何倍も大きな肢体とその先に備わった鋭い爪。広げるとそれだけで風を巻き起こす美しい翼。そして、均整のとれた顔に金色に輝く嘴(くちばし)が、俺を獲物と見定めていた。
――キェェェェェェェッ!!!
 それは、グリファンの奇声にも似た戦闘合図の叫びだった。
 もはや躊躇している余裕はない。一撃で仕留めなければいけない。そうしなければ、俺は本当にヤツの餌になる。
 俺は覚悟を決めた。
 グリファンが助走を付けるために翼を広げたのと同時に、俺も攻撃態勢へと入る。
 ヤツが下りてくるまでが勝負だった。
 素早く両手で印をふむ。
 目を瞑り、呪文を口にのせ、右手で素早く宙に紋を描く。威力の強い高位呪文ほど長くて、消耗する精神力が膨大なのが最大のデメリット。それでも得られる破壊力を考慮したら必要な犠牲だ。
 上空から、ごぉぉぉぉっという 音が迫ってくる。
 早いっ!
 俺は逸る気持ちを押し殺して、呪文を続けた。
 轟音は、振動を伴って頭上から降り注いでいる。
 ヤツが直ぐそこまで迫っているんだ。
 もう少し、もう少しで……。
 やっとのことで長い呪文を唱え終わると、俺は瞳を見開き、全身の力を両手にのせた。
 強風が吹き荒れる。
 舞い上がる枯れ葉で視界はふさがれた。
 しかし、ヤツの位置は明白だった。
 強大な覇気と、鋭利な殺気。
 そして――
「雷光!!!」
 叫んだのと同時に真っ白い無数の閃光が魔物の体めがけて突き刺さる。
 俺の眼前でヤツの体が反り返った。
――キィァァァッ!!!
 叫びとともに失速する魔物。あたりに焼け焦げた匂いが充満した。
 やっと終わった。
 ほっと息を付くと、気が抜けたのかドサリと地面に尻餅をついた。
 反動で胸の辺りに走った激痛に顔を顰めながら、俺はちょうど後ろにあった木の根元に背中を預ける。
 体中の力が抜けた。
 立ち上がる気にもなれず、俺は首を傾けた。体が重い。
「運動不足……だ……ぜ」
 すると、視線の先に両手で包み込めるほどの小さな乳白色の塊が見えた。
 それは――
 口をパクパクさせながらピチュピチュと鳴き、俺の顔をジッと見つめていた。






あとがき

第1話 シェルティーの拾い物をおとどけしました
いかがだったでしょうか?

まずは、すずなちゃんに謝罪します!!
勝手にシェルティーくんに魔法使わせちゃってゴメンナサイっっ(--;(_ _(--;
しかも・・・雷光て・・・orz; いい呪文名思いつかなかったよ;
エルティリアの神秘的な世界観とは、ぜんぜん似ても似つかないですが
違うものとして、許していただけるとうれしいです(;´ρ`)

物語は、イキナリ緊迫感溢れる(?)戦闘シーンからでしたが・・・(゜▽゜;)
クライマックスの構成を間違えてんじゃないの? と思われるようなこの場面w
書くのに苦労しましたw
戦闘シーンは初めてだったので、描写の仕方が分からず(ーー;)
テーブルトークのリプレイ集と、魔物との戦闘シーンがある十二国記
あとは描写の参考に銀英伝、そしてバトルシーンのある鋼レン
などなど、色々読みまくり、見まくりました(⊃д⊂)
さすがに流血シーンまではいかないですが
少しは戦闘の雰囲気が出ていたらいいなぁ~とか思っております

それと、分かる人には分かるのですが
魔物 『グリファン』 とは、グリフォンのことですwwwww

企画小説なのにとても遅くなってしまいましたが、すずなちゃんへの感謝の気持ちを込めて書きました
少しでも喜んでもらえたら光栄です(*^-^*)

そして、全てのみなさまへ
最後まで読んでいただいてありがとうございました
まだ続く 『シェルティーとヒナの青い空』 を応援していただけたら嬉しいです
ぜひぜひ続きを読みに来てくださいね

それでは、ありがとうございました


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K-STYLE

ほわわ~(゜◇゜*)
寝る前にお散歩してたら、なんというステキな拾い物~。
すっごく手に汗にぎる緊迫した戦闘シーンだたでふ~。
(;´д`)はらはら
(゜◇゜)ドキドキ
続きも楽しみだにゃ~。
がんばってね(・◇・)/
by K-STYLE (2010-04-06 00:58) 

セイバー

るぴさんやっほ~(*'∇')/シェルティーとヒナの青い空第一話
まずは完成おめでとう!そしてお疲れさまでしたm(._.)m
本ブログの方でも書いたけど読んでてすごく面白かった!
魔物との戦闘シーンや緊迫した様子が文章からすごく伝わってきて
ドキドキワクワクしながら読み終えたですよ(*'∇')続き楽しみに
しているですよ♪
by セイバー (2010-04-07 19:58) 

サトル

グリファンとの戦闘、すっごく緊張感あって
迫力満点だったですよ~><
こういった展開、ゲーム好きにはたまらないのです(笑)

あとあと、ちょっと聞きたいですが
ブログ村の応援をするときって
アイコンをクリックするだけでいいのかな~?

by サトル (2010-04-08 01:27) 

ルピナス

かっぱちゃん☆
宣伝するより早く見つかってしまったですにゃ(⊃д⊂)
さっそくありがとうです♪
初めての戦闘シーンだたので何回も書き直したです~(つд・)
緊迫感とか、リアルな時間経過とか・・・色々考えてたら
最終的に良く分からなくなったですw(゜▽゜;)
とりあえず、すでにクライマックス終わっちゃったみたいな展開に、今後の構成が悩まれます(;´ρ`)ww
頑張るッス(*^-^*)

セイバーさん☆
こっちにまで感想書いてくれてありがとう!!
沢山ブログがあって大変だから、まとめて本家に書いてくれればそれでいいよ~(´∀`)ノ
大丈夫w nice!押せなくても気にしない(o^-')b 心で押してくれてるでしょ?w
戦闘シーンは難しいね(^_^;) ゲーム思い出しても緊迫感はでないしねww
続きも頑張りまーす

サトルさん☆
読んでくれてありがとうですにゃ~(´∀`)ノ
迫力が少しでも伝わっていたら嬉しいです(⊃д⊂) 本当はもっと描写があったんだけど、予定枚数を超えてしまったのでカットw
特にRPG好きには面白いシーンかもです
えと、ブログ村アイコンはクリックするだけで大丈夫です(*'-')
クリックするとブログ村へ飛んでランキングが表示されるでふw
私も最初、これでいいの?って思ったよぉ
応援クリックもありがとうなのです('◇')ゞ

by ルピナス (2010-04-08 13:41) 

すずな

こんにちはー
わあああありがとうありがとうありがとうございますー!!!
とても面白かったです。
ありがとうございます ^^
アクションシーン、苦労して書いてくださったんですねー
嬉しいですーー
シェルティーは無事森から出られるのかな。
拾った白い子と大冒険かな?
連載なんてなんだか嬉しいです♪
わくわくが続きます♪
楽しみにさせていただきますねー (*^▽^*)
by すずな (2010-04-10 13:25) 

ルピナス

すずなちゃん 遅くなってごめんなさい(つд・)
読んでくれてありがとう(*'-')
ええっと、(^_^;)かなり勝手に色々作っちゃったので心配なのですが
シェルティーくんのイメージを壊さないように頑張ります
続きも楽しみにしていてね♪
by ルピナス (2010-04-10 23:00) 

レイフォン

初めまして。レイフォンと申します。
日本ブログ村を見てやって来ました。
So-netブログでファンタジー小説を
書かれている方は少ない?ので
ルピナス様のような方に出逢えて
嬉しいです。
小説も、第一話から戦闘シーンで始める
という難しい始め方で
あっという間に引き込まれました!!!
もし良ければ、また来てもよろしいでしょうか?
お返事待ってます。

by レイフォン (2010-04-11 09:43) 

ルピナス

レイフォンさん 初めまして(´∀`)こんにちわw
訪問&コメントありがとうございますっ><w
ソネブロではとても少ないですよね
なかなかブログで小説を読んでもらうというのは
難しいものがありますね
本と違うので、文字を多くすると敬遠されてしまいますし(^_^;)
(⊃д⊂)物語に入り込んでいただいて光栄です
ぜひぜひ交流をさせて下さい
読んでいただいてありがとうございました♪

by ルピナス (2010-04-11 14:36) 

TSO

ファンタジー系はうといのですが、ドラクエで呪文を使うのとは違って、本当にその場にいるような、上空に魔物がいる中に本当に立っているような錯覚におちいっちゃいましたよ~。

by TSO (2010-04-30 09:03) 

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