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byルピナス
*次回第6話は、6/15up予定です

ビターバレンタイン 5話(最終話) [ビターバレンタイン 完結]

 猫のキャラクターの目覚まし時計が鳴るより早く、スイッチを止めた。




 私は、日曜日でも平日と変わらず6時に起きる。

 母さんを手伝って朝食を作るために。





「葵ちゃん、今日は哲くんとお出かけするんでしょう?」

 お味噌汁のねぎをきざみながら母さんが聞いてくる。


 今日はバレンタインだった。




 でも、哲と会う約束はしていない。

「チョコレートは今から作るの? 材料がテーブルの上に置いてあったから冷蔵庫に入れておいたわよ」

 そういえば、昨日は夕食も食べずに寝てしまった。


「・・・・・・別に、哲とは約束してないし・・・」

 きっと、哲は彼女と会う約束をしてるはずだから。


「あら? そうなの? 珍しいのね」

 そう言うと、母さんは朝食の仕上げをした。


 私が並べたお皿の上に、ハムエッグとほうれん草のソテーがのる。

 お味噌汁とお漬物が並んで、私がご飯をよそったら朝食セットができた。



 いつもなら、その日の予定を母さんに話しながら食事をするのに。

 今日は何も話す事がない。


 私は、母さんに突っ込まれるのが嫌で朝食をさっさと済ませて部屋へと戻った。




 ベットに座って溜息をつく。

 なんだか気が重いなぁ。


 どうしたんだろう・・・・・・。


 何もする気が起きないや。


 私はベットに横になった。

 すると、机の上においてある青いリボンを結んだラッピング袋が目に入った。

 哲にあげようと思って買っておいたものだ。





 でも、もう必要ないのかも・・・・・・。



 
 そう思って目を閉じると――

 ビー、ビー、ビー


 バイブにしてあった携帯が鳴った。

 振動でガタガタしてる。

 起き上がるのが面倒だった。









 しばらくすると、携帯は静かになった。





 2度目は鳴らない。

 もしかして、哲だったかも・・・・・・。

 ・・・・・・そんなわけないか。

 そして、私はそのまま眠りについた。




*****




 ――葵ちゃん。はじめまして。私、哲くんの彼女なの。

 茶色い髪の女の子は言った。

 は? 彼女?


 ――そうよ。チョコレートは私があげるから、葵ちゃんからはもうあげないでね。

 手には赤いリボンを結んだハート型の箱が包まれていた。

 な、何言ってるの?


 ――葵ちゃんも早く彼氏を見つければいいんだわ。

 そんな事、あんたに関係ないでしょ。


 ――ねえ、そうでしょ。葵ちゃん

 女の子は終始笑顔を崩さなかった。

 何よ。うるさいなぁ。なれなれしく呼ばないでよ。


 ――葵ちゃん

 だから、呼ばないでってば!


 ――葵ちゃん

「――ちゃん、葵ちゃん。聞こえてる? 哲くん来てるわよ?」


 哲・・・・・・?


「哲!?」

 私は飛び起きた。

 ドアの向こうで母さんの声がしていた。

「リビングにいるから早く下りてきなさいね」

「わ、分かった」

 とりあえず返事をしたけど。




 哲が来てる? なんで?


 目覚まし時計を見たら、針は8時を指していた。

 1時間以上も眠っていたらしい。

 髪を手ぐしで整えて、急いで階段を下りた。




「哲?」


 リビングには本当に哲が座っていた。

「葵、おはよう。朝早くにごめんな」

 哲の笑顔は相変わらず爽やかだった。


「ううん、別にいいよ・・・・・・それより、どうしたの?」




 夢見が悪かったせいか、妙にドキドキする。

 まさか、彼女のこと・・・・・・とかじゃないよね?

 私は、哲の向かいに座った。



「えっとさ・・・・・・これ・・・・・・なんだけど」

 哲は、紙袋の中から小さな四角い箱を取り出した。


 青い箱に、茶色いチェックのリボンが結ばれている。




「・・・・・・何? これ?」

「チョコレート。バレンタインだからさ」










 え?

「私に?!」

「そうだよ。開けてみて」

E891B5-85bac.jpg


 なんで? 哲が私に? わけが分からない。

 今日はバレンタインだよね。誕生日じゃないよね?
 
「どうしたの? 葵? もしかして具合悪かった?」

 哲が心配そうに私の顔を覗き込んだ。



「ううん・・・・・・そうじゃなくて・・・」

 ただ、戸惑ってるだけ。


 私は、哲が差し出してくれた小さな箱を手に取った。



 コロン・・・て、何かが動いた。

 リボンを解いてフタをあけると――



 丸くて小さなトリュフチョコレートが、1粒だけ入っていた。


「トリュフ?!」

 思わず声にしたら、哲が照れくさそうに鼻の頭をかいた。

E593B2-a23bc.jpg

「頑張って練習したんだけど、上手く出来たのはそれ1粒だけだったんだ。葵、トリュフチョコ食べたいって言ってただろ? だから――」

「だから、作ったの?」




 私が好きだって言ったから・・・・・・。

「まあ、ね・・・・・・」



 何にも言葉が出てこなかった。

 私が、哲の彼女のことでいじけてる間に・・・・・・哲は・・・・・・。



 敵わないなぁ・・・・・・。



「ありがとう、哲」

「いえいえ。実は、蒼華ちゃんに教えてもらったんだ。あ、蒼華ちゃんていうのは、勇喜の彼女で――」




 ちょっとまって。


 それって、まさか――

「髪が茶色くて、蒼い瞳の女の子? 土曜日に街中のカフェでお茶してた?!」

「そ、そうだけど・・・」

 哲はびっくりしたように頷いた。


「なんだ、そっか・・・・・・」


 勇喜の・・・哲の彼女じゃなかったんだ。

「チョコレート作りを教えてもらったお礼にケーキを御馳走したんだ。って言うほどのもんでもないんだけど」


「そっか・・・・・・そっか、そっか」

 

 ほっとした。急に、胸のつかえが取れたみたいだった。



 そして、気持ちが軽くなった途端、私は重大な事を思い出した。


 哲のチョコレート、作ってない!!!

 材料は冷蔵庫に入ったままだ。



 ・・・・・・・・・・・・・・どうしよう・・・。






「じゃあ、葵、僕はこれからバイトだから、もう行くね」

 え? ちょっ

「待って!」

「ん?」

 立ち上がろうとした哲を呼び止めたけど、肝心の渡す物がない・・・・・・?


 そ、そうだ! あるじゃん!

「待って、待ってて。急いで取ってくるからっ!」

 哲をもう一度座らせてから、私はもうダッシュで2階へ上った。


 部屋へ駆け込んで、机の上においてあった袋を引っ掴む。



 リビングへ戻ってくると、息を切らした私を哲が不思議そうに見ていた。





「こ・・・・・・これ・・・・・・哲に」

「僕に?!」

 哲がひどく驚いた声を出した。



「・・・うん。バレンタインの・・・・・・」

 息がきれて、うまく声が出せなかった。



「うわっ、ありがとう。ありがとう、葵」

 すごく喜んでもらえたみたいだった。

 哲は、袋を開けずに持ってきた紙袋にしまった。



「開けないの?」

「うん、今からバイトだから家に帰ってからゆっくり開けるよ」




「そう・・・・・・」



 ちょっぴり残念な気持ちだったけど、プレゼントが渡せて満足だった。


 良かった、ちゃんと買っておいて。



「じゃあ、行くよ」

「うん」



 哲は、私のプレゼントを入れた紙袋を持ったままバイトへと向かった。





 チョコレートも作っておけば良かったなぁ。

 今更言っても遅いけど・・・・・ん?




 遅くない・・・・・・かも?


 良く良く考えたら、まだバレンタインは終わってない。

 まだ、間に合うじゃん。










 私は冷蔵庫に入っていた材料を取り出すと、またチョコレートと格闘を始めたのだった。








<おしまい>


 







最後まで読んでくださってありがとうございましたっ!!!

(--;(_ _(--; 最終話だけ、長くなってすみません・・・



いかがでしたでしょうか?

葵ちゃんというキャラを活かせるような文が書けたのかどうか・・・;

不安と不満が・・・・・・(;´ρ`)



今回は、バレンタインというテーマを頂いて

チャレンジする気持ちで書きました


現代オンライン小説風味というは、難しいでふ(゜▽゜;)

私は苦手だということが分かりましたw






え~、じつはこの後 おまけ がありますので

良かったらそちらも読んでやって下さいませ(´∀`)





ではでは、キャラを貸してくださったサトルさん

最後まで読んでくださったみなさま

ありがとうございました m( __ __ )m










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